第4回 国際ドローンシンポジウム
第4回 国際ドローンシンポジウム 講演者インタビュー

楽天株式会社 新サービス開発カンパニー ドローン事業部 ジェネラルマネージャー
向井 秀明氏

 楽天の向井氏には「ドローン物流の実現と空域管理の必要性について」というテーマで講演いただきます。eコマース分野のリーディングカンパニーである楽天は、ドローンをどのように活用しようとしているのでしょうか。

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第4回 国際ドローンシンポジウム 講演者インタビュー
──向井さんの業務について、お話いただけますか?

 私は、ドローン事業部の責任者として従事しています。この事業部のミッションはドローン物流を実現することです。

 また、アメリカでUTMソリューションを展開しているAirMapという会社と楽天がジョイントして立ち上げた「楽天AirMap株式会社」という会社があるのですが、その代表取締役CEOも務めています。

──UTMとは?

 UTM(UAS Traffi c Management) と呼ばれる、いわゆるドローン用の航空管制システムサービスです。楽天AirMap株式会社はそのソリューションを提供している会社です。

──楽天入社前のキャリアは?

 以前はエンジニアで、レーシングカーの設計・開発をおこなっていました。日本・海外の様々なレースで設計・開発、また、現場でのエンジニアリングをおこなっていました。最初はエンジニアからキャリアをスタートしましたが、その後、海外でMBAを取得し、楽天に入社しました。

 楽天では、最初は海外eコマースを担当していました。楽天シンガポールの立ち上げを担当したあと、新規事業に取り組む部署に移り、さまざまな事業の立ち上げに参加しました。

 その中でドローン物流に注目し、ドローン事業立ち上げの了解をもらい、現在に至ります。

──ドローン事業に参入した理由は?

 eコマースを進めると、物流が大きなボトルネックになります。実際、ネットショッピングの普及によって荷物の配送個数は年々増加し、物流の課題が浮き彫りになってきました。物流の問題を抜本的に解決するためには、新しい打ち手が必要だと考えていた時、ふと空を見上げました。空は誰も使っていない。この領域を活用すればよいのではないか、と考えたんです。

 ちょうどドローンが世間に出はじめたころで、可能性が生まれはじめた時期でした。今あるニーズに対して、ソリューションの可能性が出てきたこのタイミングで成功すれば、大きなゲームチャンジャーになるのではないだろうか、というシンプルな理由で参入しました。

──現時点でのドローンの活用状況を教えていただけますか?

 物流の問題を解決するためには、都市部でドローンを活用していくことが本丸です。しかし、残念ながら、まだまだ法整備上、都市部でドローンを飛ばすのは難しいです。従って、我々のアプローチは、ドローンを飛ばすことが可能な場所で実績をつくって、その実績をもとに国に対して法律の改正を要請していくというものです。

 実績がついてくれば、サービスを受ける方々にもさらに安心感を持っていただけます。技術の進歩も進む。そういった意味で、とにかくできるところからどんどんやっていくというのが我々のアプローチです。

 今はゴルフ場のような私有地で、安全を徹底的に確保し、定期的な運用をおこなっています。福島県南相馬市に小高地区というところがあるのですが、震災後で困っている方々に向けて、ローソン様の移動販売と連携し、コンビニの商品をお届けすることに取り組んでいます。

──千葉市でのドローン事例も伺っています。千葉市や南相馬市の取り組みをどのように考えていますか?

 千葉市はドローンに積極的な地区ですが、国家戦略特区として都市部におけるドローン配送事例の最初のケースになるのではないかと考えています。

 南相馬市は国家戦略特区ではありませんが、市をあげてドローンなどのロボット産業に積極的で、しかも国も後押しをしています。南相馬市長含め大きなバックアップをいただいているため、ドローンを活用することができています。千葉市に対して南相馬市では過疎地域におけるドローン配送のモデルケースと捉えています。

──現時点での課題は?

 課題は山積みです。まず法律の課題があります。南相馬市では目視外飛行に近いことをおこなっていますが、実際には飛行中にドローンを監視する者、いわゆるオブザーバーと言われる人が必要になっており、コスト的な負担にもなっています。

 これは非常に大きな課題ですが、国交省も積極的に法改正に向けて動いていただいていますので、今後、オブザーバーは不要になっていくと考えています。

 電波の問題もあります。「常時接続することで機体の状態を常に把握できること」というような条件が求められています。安全性を担保するための条件です。しかし、常時接続が可能な電波が市場になかったり、LTEを上空で使うには制限があったりと、そういった法律や技術の課題もあります。

 技術的な課題にフォーカスすると、ドローンが5kgや10kgの重さの荷物を積んで、安全かつ安定的に5km程の長距離を飛行することは、現時点では実現できていません。それを実現するドローンメーカーやドローン技術が早く出てきて欲しいというのが、我々サービスを提供する側の本音です。

──ドローンを作っているメーカーさんはあまりないのですか?

 ハンドメイド的なドローンを作っているところも含めれば少ないわけではありませんが、実際に産業用として、安全で性能の明確な提示があり、保証もあって、我々が持っているITソリューションと連携する、そのような産業用プロフェッショナル向けのドローンを作っている会社はまだ少ないと思います。

──今後の展開は?

 実績をどんどん作るのが現在のミッションです。そうしなければ、絵空事としてドローンが忘れられていってしまいます。実績ができて、「これは便利だ!」と皆さんに思ってもらい、安全性も担保され、運用スキルも向上していくことによって、いろんなところで使ってもらえるようになっていくでしょう。

 法律の関係上、まだ山間部や過疎地などが中心の取り組みになりますので、そういった場所を中心にドローン配送をなるべく多く展開していき、さらには法整備がなされていく中で都市部にも展開していく。オリンピックまでに都市部での事例を作れると「日本は進んでいる国だね」と海外の方にも思ってもらえますので、そこをマイルストーンとして考えています。

──参加される方へのメッセージをお願いします。

 現時点では、ドローン配送を見たことない方が大半だと思います。実際にドローン配送を体験してみると「本当に空から物が届くんだ」「温かいままで商品が届いた」と驚きます。空の領域を活用すると、こんなにも便利なんだと感じることができます。

 今回の国際ドローンシンポジウムでは、我々の取り組みについて丁寧にお話をする予定ですが、ドローン配送を使った時の新鮮な驚きについても感じていただければと思っています。ぜひシンポジウムにご参加ください。会場でお待ちしています。
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