第41回 2019 産業安全対策シンポジウム

◆ セッションプログラム

2019年2月19日(火)
10:00~13:00
コーディネータ スピーカ (敬称略)
S1
産業安全事故・分析と対策
川越 耕司
三菱ケミカル株式会社 環境安全部 安全グループ グループマネージャー
事故からの教訓と共有化
  • 事故情報と教訓の共有化
  • 事故情報から教訓を得るための観点
岩間 啓一
オフィス イワマ 代表
新しいヒヤリハット事例活用の方法論
  • 蓄積されるヒヤリハット事例をどのように活用するか
  • 全体を俯瞰すると見えるものは何か
  • 提案する2つの方法(ベイジアンネットワークと自己組織化マップ)
小嶋 二郎
慶應義塾大学 大学院 システムデザイン・マネジメント研究科 後期博士課程
事故の背景に在る芳しくないマネジメントの予兆管理法
  • 事例解析による事故の背景に在る芳しくないマネジメント事象の顕在化
  • 顕在化した芳しくない事象への対応法、組織のリスクセンス診断法の紹介
  • 組織のリスクセンス診断の実施例の紹介
中田 邦臣
特定非営利活動法人リスクセンス研究会 副理事長 兼 事務局長
 発生している事故は、過去に発生した事故と類似のものが多く、事故情報をいかに分析し、その対策を行うことが事故の未然防止に有効です。現在、この事故情報の活用が産業安全を考えるうえで大きな課題となっています。
 本セッションでは、事故情報の活用について、さまざまなアプローチにより、工夫している3つのテーマを紹介させていただきます。最初は、過去の事故事例より新たに教訓化を行い、それを共有化することで活用できる環境を整備する取り組みを紹介いただき、次に、日々発生する事故やヒヤリハット事例を新たな分析手法を用い、それをいかに事故の未然防止に活用するかを提案いただきます。
 また、最後のテーマでは、事故情報の活用を行う組織の取り組みとして、事故事例の解析より抽出された組織の実力を組織診断により可視化し、マネジメントの改善につなげていきます。
2019年2月19日(火)
14:00~17:00
コーディネータ スピーカ (敬称略)
S2
自然災害対策と危機管理
天野 玲子
国立研究開発法人防災科学技術研究所 審議役
見たくないことを直視して事業継続を
  • 過去の災害を学ぶ
  • 現代社会を点検する
  • 将来を予測し備える
福和 伸夫
名古屋大学 減災連携研究センター センター長・教授
大規模災害時における情報共有の重要性と産官学の役割
  • 府省庁連携防災情報共有システム「SIP4D」
  • 災害時情報集約支援チーム「ISUT」
  • 実災害時の情報共有の具体事例
臼田 裕一郎
国立研究開発法人防災科学技術研究所 総合防災情報センター センター長
愛知製油所のBCP(地震版)実効性向上 ~事業所目線の取組~
  • 南海トラフ巨大地震への備え
  • 産官学の連携による実効性向上
  • 事業所目線の課題発掘・改善
阿部 隼人
出光興産株式会社 愛知製油所 安全環境室 プロセス安全専任
自然災害に対応する災害対策システムの構築と展望について
  • 様々自然災害対応に資するシステム構築に取り組んできた。
  • Google(パブリッククラウド)など最新技術を駆使し他者と連携可能な仕組みを目指した。
  • 被災状況把握のステップとして産官学連携した予報予測技術創出に取組中。
西村  出
株式会社セブン-イレブン・ジャパン システム本部 システム企画部
統括マネージャー
 災害の多発した2018年。今後も、東海・東南海・南海地震などの巨大地震や異常気象による巨大災害が多発することが危惧されています。
 本セッションでは、防災の専門家から事業継続のための「過去の災害を学び、現代社会を点検し、将来を予測して備える」ことに対する率直なお話を伺います。
 また、国家プロジェクトである戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の成果である府省庁連携防災情報共有システム「SIP4D」や災害時情報集約支援チーム「ISUT」の報告とともに、熊本地震、九州北部豪雨災害、大阪府北部地震、西日本豪雨災害、北海道胆振東部地震での実運用の具体例の報告を通して大規模災害時における情報共有の重要性について紹介して頂きます。
 更に、製油所の、南海トラフ巨大地震への備えに対する産官学の連携による実効性向上の具体的な取り組みや事業所目線の課題発掘・改善についてのお話と、物流業界の、様々な自然災害対応システム構築に取り組む中での パブリッククラウドなど最新技術を駆使した他者と連携可能な仕組みの構築や、産官学が連携した被災状況把握のための予報予測技術創出に取組んでいる状況について紹介して頂きます。
 近い将来に必要となる自然災害対策と危機管理体制の構築について寄与するものとなるでしょう。
2019年2月20日(水)
10:00~13:00
コーディネータ スピーカ (敬称略)
S3
自動化およびICTの進化と安全
鈴木 和彦
岡山大学 大学院 自然科学研究科 名誉教授・特任教授
製造業のロボットシステムと安全
  • 産業用ロボットのシステムインテグレーションについて
  • 産業用ロボットの安全に関わる規格や法規
  • 製造業のロボットシステム構築における安全課題と技術者資格制度
小平 紀生
一般社団法人セーフティグローバル推進機構 理事
三菱電機株式会社 FAシステム事業本部 主席技監
3D計測、ドローンおよびITの安全への活用
  • 3D計測と活用の世界動向
  • ドローン技術と市場の世界の動向
  • 上記技術およびその他IT技術の安全向上への効果
河村 幸二
合同会社スパーポイントリサーチ 代表
技術・技能伝承におけるAI活用
  • 喫緊の課題である技術・技能伝承へのAI活用は進んでいるが、まだ潜在的な可能性を十分に引き出せていない
  • 全てをAIに任せるのではなく、技術・技能伝承の支援にAI活用の枠を広げることで、大きな効用を得られる
  • AI活用においては、まず構想を十分に練り、実践を重ねることがポイント
板倉 豊和
株式会社三菱総合研究所 コンサルティング部門 社会ICTイノベーション本部
先進サービス開発グループ 主任研究員
 経済産業省は,我が国の産業が目指す姿として「Connected Industries」の概念を提唱しています。世界中で、ロボット革命、ビッグデータ、AI、IoTなど、デジタル化に向けた大きな変化・動きが加速しています。ものづくり現場でも設備の安全性と生産性の向上、自主保安力向上のためにデジタル変革・技術をいかに活用するか大きな課題となっています。このような背景に対して、その実現に何をすべきか、どのように取り組むかを議論することが重要です。
 セッション3では,ロボット革命に備えた産業用ロボットシステムと安全の課題について紹介していただきます。製造現場では、設備管理のために、ドローンの活用が盛んに進められています。3D計測、ドローンおよびITの安全への活用について話題提供していただきます。また、喫緊の課題である技術・技能伝承へのAI活用は進んでいるが、まだ潜在的な可能性を十分に引き出せていないという課題があります。 全てをAIに任せるのではなく、技術・技能伝承の支援にAI活用の枠を広げることで大きな効用を得られます。技術・技能伝承におけるAI活用について紹介していただきます。
 ものづくりは時代とともに変化しており、その状況に応じた取り組みが重要です。それぞれの製造現場でのデジタル化,高効率化,自動化の在り方について議論するいい機会になれば幸いです。
2019年2月20日(水)
14:00~17:00
コーディネータ スピーカ (敬称略)
S4
リスクアセスメントとリスクマネジメント
野本 泰之
日揮株式会社 プロセステクノロジー本部 テクニカルHSE部 チーフエンジニア
化学プロセスのリスクマネジメントについて
  • 化学プロセスのリスクとは
  • 安全性評価手法について
  • 安全対策について
中川 昌樹
三菱ケミカル株式会社 環境安全部 安全工学Gr マネージャー
お客様のご要望にお応えする製品安全活動
  • 安全な製品を設計・製造するための取り組み
  • 製品を安全に使用してもらうための取り組み
  • 製品安全文化構築への取り組み
宮口 昌通
パナソニック株式会社 ランドリー・クリーナー事業部 品質統括部 部長
鉄道分野におけるリスクマネジメントの取組みと
初期対応のあり方
  • 会社・組織が優先的に護るべき「価値」を見極める
  • 主体的な行動と合理的な責任意識で、戦略としての初期対応を組み立てる
  • 想定される事態を予測した初期対応の実践的訓練でリスク感覚を研ぐ
横井 祐一
朝日大学 経営学部 准教授
 2009年のISO31000では、リスクは、「諸目的に対する不確かさの影響」と定義されました。それにより、より広い分野でその概念が使われています。その諸目的を安全と考えた場合、違った業種においても、適切なハザードの洗い出し、そのリスクの評価、そのリスク低減・対応といった手法、考え方は一貫していて参考になります。今回、異なるの3つの業種分野におけるリスクマネジメントについて、その取り組みを紹介して頂きます。
 【化学プロセス分野】のリスク、安全性評価、安全対策について、【家電分野】の商品企画~設計開発~量産化の各ステップでリスクアセスメント、そのアセスメントで特定された安全上重要な部品や工程に対する重点管理、安全確保のためのお客様への説明の工夫について、【鉄道分野】のリスクマネジメントと初期対応について伺います。
 色んな業種の色んな観点のリスクマネジメントを学び、自社のリスクマネジメントを見直す機会にして頂きたいと思います。
2019年2月21日(木)
10:00~17:00
コーディネータ パネリスト (敬称略)
S5
これからのヒューマンファクターを考える
(パネルディスカッション)
小松原 明哲
早稲田大学 理工学術院 教授
【理論編】
ヒューマンファクターの理論と考え方
  • 安全マネジメントの考え方
  • これからの課題:人手不足のもたらすもの
  • 二つのエラータイプ:何に取り組むべきか?
小松原 明哲
早稲田大学 理工学術院 教授
製造業進化の過程で「退化」したもの 〜「考える力」を蘇生する
  • 製造現場変遷の歴史を振り返る ~なぜ「考える力」が消失したか
  • 統率力を鍛える ~「気づく行動」を促す「気づかせる仕組み」
  • 中堅者(次世代リーダー)を鍛える ~現場技術の体系的再生産
天川 一彦
公益社団法人日本プラントメンテナンス協会 主幹研究員
慶應義塾大学 大学院 特別招聘講師
医療におけるノンテクニカルスキルについて
  • ノンテクニカルスキル
  • 医療現場
  • レジリエンス
長谷川 剛
上尾中央総合病院 特任副院長
【事例編】
航空機整備における現場支援
  • 航空機整備に集中できる環境づくり
  • ITを利用した技術者の育成
  • ビッグデータを活用した故障予測
後藤 隆朗
株式会社JALエンジニアリング 品質保証部 リスクマネジメントグループ
グループ長
製油所・石油化学工場における安全マネジメント
  • JXTGエネルギーの製油所・石化工場の安全マネジメントには
    全所共通の「操業管理システム」という仕組みが活用されている
  • 管理システムの要求事項遵守を謳うだけでは永続的な安全操業は難しい
  • 安全文化を構築するために実施したいこと
斉藤 嘉平太
JXTGエネルギー株式会社 環境安全部 副部長
一人ひとりの安全行動を起点に「究極の安全」へ
  • JR東日本における現場力の強化の取組みについて事例を紹介する
中川 昌弥
東日本旅客鉄道株式会社 鉄道事業本部 安全企画部 次長
パネルディスカッション
「これからのヒューマンファクターを考える」 日本の人口減を考えたとき、産業現場では多様なスタッフの業務従事や、少数のスタッフでの業務遂行が確実になる。 この時代背景のもと、このセッションでは、これからのエラー対策と現場力強化、そして業務管理(マネジメント)について、その理論・方法論と具体的な取り組みを幅広く模索したい。
2019年2月22日(金)
10:00~13:00
コーディネータ スピーカ (敬称略)
S6
自主保安向上に向けての最新動向
大谷  悟
三井化学株式会社 安全・環境技術部 抜本安全推進グループ グループリーダー
新しい保安に向けての取り組み動向
  • 化学安全における最近の課題
  • 保安力評価
  • 保安力の弱みの改善
若倉 正英
特定非営利活動法人保安力向上センター センター長
スーパー認定取得への取組み
  • 装置産業の製造現場では「安全・安定操業」、「保安・安全確保」が喫緊の課題
  • 経済産業省は、事業者の高度な自主保安を促すため、2017年4月から「スーパー認定事業所」制度を開始
  • スーパー認定取得に向けた取組み、活動事例およびメリット
池田 修司
JXTGエネルギー株式会社 環境安全部 副部長
自主保安高度化事業者認定取得への取組み
  • 自主保安の取組み
  • 自主保安高度化事業者の要求事項と対応
  • 自主保安高度化事業者認定取得までのフロー
豊田  泰
日本エイアンドエル株式会社 愛媛工場 生産管理部 環境安全課
 高圧ガス保安法において、プラントの高経年化、熟練従業員の減少等に対応するため、高度なリスクマネジメントやIoT・ビッグデータの活用等による高度な保安を行っている事業所を「スーパー認定事業所」として認定し、能力に応じて規制を合理化する制度が、平成29年4月に創設されました。同時に、現行の認定制度の主なインセンティブは連続運転に係る規制の合理化であり、バッチ処理等を行うプラントでは定期的に運転を止める必要があるため、現行の認定制度の利用が進んでいなかったことから、これらバッチ処理等を行う事業者(連続運転を行わない事業者)を認定対象の中心とした「自主保安高度化事業者制度」も立ち上がりました。
 これらの新制度「スーパー認定事業所」および「自主保安高度化事業所」としての第1号認定を取得された取組みの実例を紹介いただくと共に、新しい保安に向けての最新動向を紹介していただきます。
2019年2月22日(金)
14:00~17:00
コーディネータ スピーカ (敬称略)
S7
安全文化の現状の到達点と新たな展望
高野 研一
慶應義塾大学 大学院 システムデザイン・マネジメント研究科 教授
安全文化診断から見る最近の課題と改善の新たな方向性
  • 安全文化診断の概要と各企業における活用例
  • 安全文化診断から見る事業所における各種課題
  • 事業所における課題を解決するための新たな方向性について
東瀬  朗
新潟大学 大学院技術経営研究科 特任准教授
NEXCO中日本における安全文化醸成活動の進展と方向性
  • 安全性向上のための「5つの取組み方針」に基づく取組み
  • 2017年度の取組みの検証
  • 安全文化醸成に向けた課題と方向性
中須  誠
中日本高速道路株式会社 総合安全推進部 担当部長
東レ千葉工場における安全への取り組みについて
  • 東レの概要と安全管理・活動の特徴
  • 東レ千葉工場における安全の基本思想とその歩み
  • 安全基盤の強化、安全文化の醸成(概念、安全活動体系、重点活動事例)
三木 誠人
東レ株式会社 千葉工場長
 複雑で大規模なプラントばかりではなく、大規模なインフラの安全性・健全性を確保し続けるには、運営組織の自律的な安全文化の成熟度を高めていく必要があります。そのために、自らの組織の安全文化のレベルについて定性的な側面だけではなく、定量的に「見える化」を図り、安全活動や安全管理の実効性を確認していくことが求められます。また、巨大インフラやプラントにおける安全文化醸成に向けた取組みの実例を紹介し、安全文化の進むべき方向性と新たな展望について共有し、議論します。安全文化の基盤は、組織、職場、個人の各レベルで自問自答することで深まっていきます。そのような自律的なグランドアップの取組みが安全文化成熟度を高めて行くプロセスについても実践を交えて議論します。
プログラム内容(講演テーマ・スピーカ・パネリスト・講演の順番等)は変更になる場合がありますので予めご了承ください。

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